番外編 第3話 行事前のストレスにどう向き合うか

目次

がんばりたい気持ちと、心の余白を大切に

1.行事前の“そわそわ”は、あなたが真剣だから

行事が近づくと、どこか胸の奥が落ち着かなくなることはありませんか。
「準備が終わっても、なんだか心が休まらない」
「他の先生が落ち着いて見えて、焦ってしまう」
「子どもたちにいい思い出をつくりたいのに、気持ちばかり空回りしてしまう」

そんな声を、現場ではよく耳にします。
ある先生はこう話してくれました。

「行事の前は、子どもたちのことで頭がいっぱいになって、夜も細かい段取りを考えちゃうんです。
ちゃんとやらなきゃ、失敗できない、って思うほど、息が詰まる感じがして…」

この“そわそわ”は、あなたが子どもたちのことを本気で考えている証拠です。
行事前に心が揺れるのは、「責任感」と「期待の裏返し」。
その緊張を、上手に整えていくことがセルフケアの大切な一歩です。


2.「行事前ストレス」は悪いものではない

ストレスと聞くと、「なくさなきゃ」と思ってしまいがちですが、
実は“行事前のストレス”は、悪いものではありません。

心理学では、ストレスを感じることを「覚醒」といいます。
これは、脳と身体が「これから大事なことに備えよう」としている自然な反応です。

つまり――
・緊張しているのは、「しっかりやりたい」という気持ちの証。
・不安になるのは、「子どもたちに良い時間を届けたい」と思っているから。

大切なのは、「ストレスをゼロにすること」ではなく、
“高まった気持ちを整えること”。

がんばる気持ちはそのままに、心の余白をつくる工夫が、
保育を“自分らしく”続ける力になります。


3.プレッシャーの裏にある3つの心理

行事前のストレスには、いくつかの心理が関係しています。

① 「責任感」が強いからこそ

行事は、保護者の目もあり「園を代表している」という意識が生まれます。
「失敗できない」「ちゃんと見せたい」という思いは、責任感のあらわれ。
でも、それが自分を追い込む原因にもなりやすいのです。

② 「比較の意識」が働きやすいから

同僚の準備状況や、前年度の成功体験と比べて焦ってしまうこともあります。
これは“競争”ではなく、“承認を求める自然な気持ち”。
比べてしまった自分を責めるより、「私もがんばってる」と受け止めて。

③ 「完璧主義」のスイッチが入るから

子どもの安全・保護者への配慮・時間の管理…
多くのことを同時に考えるからこそ、
「全部うまくいかないとダメ」と思い込みやすくなります。
けれど、子どもたちが覚えているのは“完璧な演出”よりも、
先生の表情や声のトーン、安心できた空気感なんです。


4.ストレスを整える3つの工夫

工夫①:感情を言葉にして見える化する

不安・焦り・責任感… 頭の中にある感情を一度外に出してみましょう。
・メモ帳に「焦ってる」「ちょっと疲れた」と書く
・同僚に「今、緊張してるんだ」と話してみる
言葉にすることで、感情が整理され、客観的に見つめ直すことができます。

工夫②:身体をゆるめてリセットする

ストレスが高まると、無意識に肩や背中に力が入っています。
・3秒吸って、6秒で吐く呼吸を数回
・首・肩・手首をゆっくり回す
・動作を“少しゆっくり”するだけでも副交感神経が働きます

身体がゆるむと、心も少しずつ落ち着いていきます。

工夫③:仲間と「声をかけ合う文化」をつくる

「ここまでできたね」「今日もありがとう」
そんな一言が、行事前の空気をやわらげます。
声をかけ合うことで、「がんばっているのは自分だけじゃない」と実感できる。
それが、チーム全体の安心感につながります。


5.行事を支えるのは、“完璧”より“あたたかさ”

行事が終わったあと、
子どもたちが「先生と一緒にがんばったね」と笑ってくれる――
それこそが本当の成功です。

保護者が見るのは、完璧な演技ではなく、
子どもが安心して笑っている姿
その背景には、あなたのあたたかなまなざしがあります。

どうか、行事のたびに“完璧な先生”を目指すのではなく、
“あたたかい先生”でいてください。
それが、子どもたちの安心と成長を支えるいちばんの力です。


🌿最後に

行事前のストレスは、あなたが一生懸命だからこそ感じるもの。
「緊張する自分」も、「焦る自分」も、悪いわけではありません。

むしろ、それは子どもたちを想う心の深さのあらわれです。
少し肩の力を抜いて、「今日もよくやってる」と自分に声をかけてあげてくださいね。


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園全体で「心を守る体制」を整えることも大切です。

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この記事を書いた人

産業保健師・公認心理師として、働く人の健康支援に10年以上携わってきました。

保育園での勤務経験も踏まえ、現場の状況に寄り添いながら、
保育園向けの研修や職場づくりのサポートを行っています。

心理的安全性やコミュニケーションの視点から、
先生も職員も安心して働き続けられる環境づくりをお手伝いしています。

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