がんばりたい気持ちと、心の余白を大切に
1.行事前の“そわそわ”は、あなたが真剣だから
行事が近づくと、どこか胸の奥が落ち着かなくなることはありませんか。
「準備が終わっても、なんだか心が休まらない」
「他の先生が落ち着いて見えて、焦ってしまう」
「子どもたちにいい思い出をつくりたいのに、気持ちばかり空回りしてしまう」
そんな声を、現場ではよく耳にします。
ある先生はこう話してくれました。
「行事の前は、子どもたちのことで頭がいっぱいになって、夜も細かい段取りを考えちゃうんです。
ちゃんとやらなきゃ、失敗できない、って思うほど、息が詰まる感じがして…」
この“そわそわ”は、あなたが子どもたちのことを本気で考えている証拠です。
行事前に心が揺れるのは、「責任感」と「期待の裏返し」。
その緊張を、上手に整えていくことがセルフケアの大切な一歩です。
2.「行事前ストレス」は悪いものではない
ストレスと聞くと、「なくさなきゃ」と思ってしまいがちですが、
実は“行事前のストレス”は、悪いものではありません。
心理学では、ストレスを感じることを「覚醒」といいます。
これは、脳と身体が「これから大事なことに備えよう」としている自然な反応です。
つまり――
・緊張しているのは、「しっかりやりたい」という気持ちの証。
・不安になるのは、「子どもたちに良い時間を届けたい」と思っているから。
大切なのは、「ストレスをゼロにすること」ではなく、
“高まった気持ちを整えること”。
がんばる気持ちはそのままに、心の余白をつくる工夫が、
保育を“自分らしく”続ける力になります。
3.プレッシャーの裏にある3つの心理
行事前のストレスには、いくつかの心理が関係しています。
① 「責任感」が強いからこそ
行事は、保護者の目もあり「園を代表している」という意識が生まれます。
「失敗できない」「ちゃんと見せたい」という思いは、責任感のあらわれ。
でも、それが自分を追い込む原因にもなりやすいのです。
② 「比較の意識」が働きやすいから
同僚の準備状況や、前年度の成功体験と比べて焦ってしまうこともあります。
これは“競争”ではなく、“承認を求める自然な気持ち”。
比べてしまった自分を責めるより、「私もがんばってる」と受け止めて。
③ 「完璧主義」のスイッチが入るから
子どもの安全・保護者への配慮・時間の管理…
多くのことを同時に考えるからこそ、
「全部うまくいかないとダメ」と思い込みやすくなります。
けれど、子どもたちが覚えているのは“完璧な演出”よりも、
先生の表情や声のトーン、安心できた空気感なんです。
4.ストレスを整える3つの工夫
工夫①:感情を言葉にして見える化する
不安・焦り・責任感… 頭の中にある感情を一度外に出してみましょう。
・メモ帳に「焦ってる」「ちょっと疲れた」と書く
・同僚に「今、緊張してるんだ」と話してみる
言葉にすることで、感情が整理され、客観的に見つめ直すことができます。
工夫②:身体をゆるめてリセットする
ストレスが高まると、無意識に肩や背中に力が入っています。
・3秒吸って、6秒で吐く呼吸を数回
・首・肩・手首をゆっくり回す
・動作を“少しゆっくり”するだけでも副交感神経が働きます
身体がゆるむと、心も少しずつ落ち着いていきます。
工夫③:仲間と「声をかけ合う文化」をつくる
「ここまでできたね」「今日もありがとう」
そんな一言が、行事前の空気をやわらげます。
声をかけ合うことで、「がんばっているのは自分だけじゃない」と実感できる。
それが、チーム全体の安心感につながります。
5.行事を支えるのは、“完璧”より“あたたかさ”
行事が終わったあと、
子どもたちが「先生と一緒にがんばったね」と笑ってくれる――
それこそが本当の成功です。
保護者が見るのは、完璧な演技ではなく、
子どもが安心して笑っている姿。
その背景には、あなたのあたたかなまなざしがあります。
どうか、行事のたびに“完璧な先生”を目指すのではなく、
“あたたかい先生”でいてください。
それが、子どもたちの安心と成長を支えるいちばんの力です。
🌿最後に
行事前のストレスは、あなたが一生懸命だからこそ感じるもの。
「緊張する自分」も、「焦る自分」も、悪いわけではありません。
むしろ、それは子どもたちを想う心の深さのあらわれです。
少し肩の力を抜いて、「今日もよくやってる」と自分に声をかけてあげてくださいね。
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