第3話 “任せる怖さ”と“任される怖さ”のあいだで

― チームが動かない本当の理由 ―

「どうして任せても動かないんだろう。」
「お願いしたのに、最後は結局自分がやることになる。」

そんなふうに感じたことはありませんか?

一方で、職員からはこんな声も聞こえてきます。
「任されたけど、どう動けばいいかわからない。」
「責任が重くて、正直こわい。」

園長や主任が抱く“任せる怖さ”と、
職員が抱く“任される怖さ”。
この2つの間に、園の停滞が生まれていることがあります。


目次

「任せる怖さ」は、責任感の裏返し

園長や主任の中には、
「結局自分が責任を取るのだから、最初から自分でやったほうが早い」
そう思う方も多いでしょう。

それは“責任感”の強さゆえ。

でも、“任せないリーダーシップ”は、
職員から「どうせ意見しても変わらない」という諦めを生み、
チーム全体を“受け身モード”にしてしまうことがあります。

任せることの目的は、
「自分が楽をするため」ではなく、
「人を育てるため」にあるのです。


「任される怖さ」は、失敗への不安

一方で、任される側も不安を感じています。

「もし間違えたらどうしよう。」
「リーダーに迷惑をかけたくない。」

そう感じるのは、
“期待に応えたい”という誠実さの表れです。

ただ、安心して任されるには、
“結果の責任”を共有してくれる存在が必要です。

「何かあっても一緒に考えよう。」
この一言があるだけで、人は思いきって動けるようになります。


任せることは“手放すこと”ではなく、“支えること”

チームを動かすための任せ方にはコツがあります。

それは、“丸投げ”でも“指示管理”でもなく、
**「伴走して任せる」**こと。

たとえば――

  • 目的と判断基準だけを共有し、方法は任せる
  • 進捗を「報告」ではなく「相談」で受ける
  • 結果よりも「どう考えたか」を対話する

リーダーが「信じて見守る」姿を見せることで、
職員は少しずつ“自分で考えて動く力”を育てていきます。


心理的安全性があると、人は育つ

心理的安全性の高いチームでは、
“失敗しても大丈夫”という空気があります。

それは「失敗していい」と言うことではなく、
「失敗しても支え合える」という信頼の文化。

人は安心して任されると、
「次はこうしてみよう」と前向きに学ぶようになります。

つまり、心理的安全性は、
リーダーの“手放す勇気”と“支える姿勢”から生まれます。


まとめ:少しずつ、任せて育てる

「全部自分がやらないと」
「任せたら失敗しそう」

そう感じるのは、あなたが真剣に園を想っている証拠です。

でも、チームは“一人で完璧に進める園長”ではなく、
“少しずつ任せて見守るリーダー”の背中を見て育ちます。

焦らずに、一歩ずつ。
任せることを、信じることに変えていきましょう。

🌱
次回は、
第4話「意見の違いをどう扱うか」
― “正しさ”よりも“つながり”を残す対話 ―
をテーマにお届けします。

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この記事を書いた人

産業保健師・公認心理師として、働く人の健康支援に10年以上携わってきました。

保育園での勤務経験も踏まえ、現場の状況に寄り添いながら、
保育園向けの研修や職場づくりのサポートを行っています。

心理的安全性やコミュニケーションの視点から、
先生も職員も安心して働き続けられる環境づくりをお手伝いしています。

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