【セルフケアシリーズ】第6話:自分の強さに気づく

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ふと「自分は弱いのかな」と思ってしまうとき

保育の現場では、子どもや保護者の感情に触れることが多く、日々たくさんのエネルギーを使います。
そのなかで――

  • 「あのとき怒らなければよかった」
  • 「もっとやさしくできたのに」
  • 「途中で気力が続かなかった」

そんな後悔が積み重なると、「自分は弱いのかもしれない」と感じることがあります。
でも、それは「弱さ」ではなく、それだけ真剣に子どもと関わっている証拠なのかもしれません。


セルフケアは「弱さを補うもの」ではなく「強さを育てるもの」

セルフケアは、調子を崩したときだけに必要なものではありません。
むしろ、すでにある強さを見つけ、少しずつ育てていく営みです。

心理学で言う「自己効力感(自分はできると思える感覚)」は、小さな成功体験を重ねることで育っていきます。
つまり、日々の中で「できていること」を見つけることが、セルフケアそのものなのです。


「できていること」に目を向ける習慣

人は「できなかったこと」にばかり注意が向きがちです。
けれど「できたこと」にも気づけるようになると、心のバランスが整いやすくなります。

具体例

  1. 子どもが泣いているときに、以前より落ち着いて声をかけられた。
  2. 予定が崩れたとき、完璧にできなくても「まあいいか」と受け流せた。
  3. 同僚に「ありがとう」と言葉をかけられた。

こうした小さな積み重ねが、自分の強さを静かに支えています。


リフレーミングで「弱さ」を「強さ」に変える

リフレーミングとは、物事の捉え方を少し変えてみる方法です。
同じ出来事でも「見方」を変えると、弱さに見えたことが実は強さの表れだったと気づくことがあります。

具体例

  1. 「すぐに不安になる」 → 「小さな変化にも気づける繊細さ」
  2. 「人に頼ってしまう」 → 「支え合うことを大切にできる柔らかさ」
  3. 「失敗を気にしてしまう」 → 「子どもや仕事に誠実に向き合っている証」

リフレーミングは「自分を甘やかすこと」ではありません。
事実の別の側面に光を当てて、自分を少し優しく見直すための工夫です。


園全体で「強さを育てる」

セルフケアは個人だけの努力で完結するものではなく、園全体の空気や仕組みからも育まれます。
園長・主任・リーダー層にとっても、「できていることを見つけ合える文化」をつくることが大切です。

  • 朝礼で「昨日よかったこと」を一言シェアする
  • お互いの小さな工夫を認め合う
  • 園内研修で「セルフケア=強さを育てること」という視点を共有する

こうした仕組みは、一人ひとりが「弱さを隠す」のではなく「強さを見つけ合う」安心感につながります。

もし園全体での体制づくりや研修に関心があれば、産業保健師・公認心理師の視点から支援できることがあります。
園の状況に合わせたセルフケア研修やコミュニケーション環境づくりなども行っていますので、よければこちらのページをご覧ください。
👉 園向け研修・支援のご案内


あなたに伝えたいこと

あなたは決して「弱いからセルフケアが必要」なのではありません。
セルフケアは、あなたの中にすでにある力を見つけ、それを育てるためのものです。

どうか、今日できた小さなことを一つ見つけてみてください。
その気づきが「明日も続けていける力」になります。

そして忘れないでください。
自分を守ることは、子どもを守ることにつながるということを。
あなたの強さは、すでに少しずつ育っています。

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この記事を書いた人

産業保健師・公認心理師・保育士
産業保健師として12年以上、働く人の健康支援に取り組んできました。
現在は、公認心理師・保育士資格を活かし、保育園向けの人材育成研修・保育士研修を提供しています。

園長先生や法人が抱える「離職防止」「心理的安全性の向上」「人材育成」の課題に合わせ、園内研修や外部研修を設計。
保育者が安心して働き続けられる職場づくりをサポートします。

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