こんな経験はありませんか?
「もっと子どもたちのためにできるはず…」
「同僚に迷惑をかけたくないから、つい残ってしまう」
そんなふうに、自分の気持ちよりも“やるべきこと”を優先してしまう日々はありませんか?
ある先生は「体調が悪いのに“休めない”と思って出勤したら、結局現場で倒れてしまった」と話してくれました。
その姿に「私も同じように無理しているかも」と共感された方もいるかもしれません。
頑張ろうとする気持ちは素晴らしいのに、その気持ちが自分を苦しめてしまう――。
これは、とてもやるせないことですよね。
「頑張りすぎ」のサインに気づくとき
「頑張りすぎ」は、目に見える形ではなく、心の中で静かに進んでいきます。
例えば――
- 無意識に無理を重ねているとき
「大丈夫」と言いながら、睡眠を削って準備を続けてしまう。 - 周囲に頼れないと感じているとき
「自分がやらなきゃ」と思い込み、手伝ってくれる声に「平気」と返してしまう。 - 気持ちを切り替えられないとき
帰宅後も「あの子のことが気になる」と頭から離れず、心が休まらない。
どれも、責任感や子どもへの思いが強い先生だからこそ起こりやすいことです。
「頑張りすぎる=悪い」ではなく、それはあなたの誠実さの証でもあるんです。
専門家の目から見えること
心理学には「過剰適応」という言葉があります。
自分の気持ちよりも「期待に応えなければ」「いい先生でいたい」という思いを優先してしまう状態です。
私は産業保健師・公認心理師として、多くの先生からこんな声を聞いてきました。
「しんどいのに、子どもたちの前では笑顔を作ってしまう」
「自分が倒れたら同僚に迷惑がかかるから、弱音を言えない」
どれも、その人が誠実で、保育を大切にしているからこそ生まれる思いです。
でも――無理を続けると、心も体もエネルギー切れになり、結果的に子どもたちと向き合う力が奪われてしまいます。
だからこそ、「頑張りすぎない工夫」を持つことが、あなた自身を守ることにつながるのです。
今日からできる「頑張りすぎない工夫」
小さな「やめどき」を決める
- 帰りの準備を15分前には切り上げる
- 明日できることはメモに残して今日は持ち帰らない
- 「ここまでやれば大丈夫」と自分なりの合格ラインを決める
→ 完璧を目指すより「続けられる形」を優先することが、保育を長く続ける力になります。
「頼る」を少しずつ練習する
- 「これお願いしてもいい?」と一言を口にする
- 小さな仕事からシェアする(コピー、道具の準備など)
- 感謝を伝えることで、頼ることへの罪悪感をやわらげる
→ 頼ることは弱さではなく「信頼しているよ」というサインです。チームでやっていける安心感を増やしてくれます。
「頑張っている自分」を認める
- 今日できたことを3つ書き出す
- 「疲れた」という気持ちをそのまま肯定する
- 鏡の前で「よくやってる」と声をかける
→ 自分で自分をねぎらうことは、心を守る一番身近なケア。自分を認めるほど、無理を重ねなくてもよくなります。
あなたに伝えたいこと
「頑張りすぎてしまう」のは、それだけ子どもや仲間を大切にしているから。
でも、あなたの笑顔が消えてしまったら、その優しさは続けられません。
どうか少しずつ、肩の力を抜いてみてください。
完璧でなくても、子どもたちは“先生と一緒にいられること”そのものに安心を感じています。
「頑張りすぎないこと」もまた、大切な保育の力。
そのことを、ぜひ胸にしまっておいてくださいね。

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