【セルフケアシリーズ】第5話:人に頼ることもセルフケア

ひとりで抱え込んでしまう気持ち

ある先生がこう話してくれました。
「子どもへの対応で迷ったけれど、主任も忙しそうで声をかけられなくて…。気づいたら全部ひとりで抱え込んで、夜も眠れなくなってしまったんです」

保育の現場では、こんな場面が珍しくありません。
「迷惑をかけたくない」
「弱いと思われたくない」
「こんなことで相談していいのかな」
そんな気持ちから、ぐっと飲み込んでしまうことがあるんですよね。

でも――本当に必要なのは「頼る力」なのかもしれません。


頼ることは弱さじゃない

頼ることは、決して“弱さ”ではありません。
それは自分の心を守る方法であり、同時にチームで子どもを守る力を強める行為です。

「相談する=責任を放棄する」わけではなく、
「相談する=一緒に考え、よりよい答えを探すこと」。

園長や主任、先輩に伝えることで、自分ひとりでは見えなかった解決策が見つかることもあります。
そして何より――「一人じゃない」ことに気づける安心感が戻ってきます。


こんなときに“ちょっと頼る”

「頼る」と言うと大げさに感じるかもしれませんが、実は日常の中に小さなきっかけがあります。

1. 園内での相談(園長・主任・リーダー・先輩)

  • 子どもの発達に関して「この声かけで大丈夫かな」と迷ったとき → 主任に「どうしていますか?」と聞いてみる。
  • 行事準備で時間が足りないとき → 先輩に「ここを一緒に進めてもらえますか?」とお願いする。

2. 同僚への相談

  • 子どもの対応で悩んだとき → 休憩中に「今日、あの子のことで困っていて…」と話してみる。
  • 自分の気持ちが揺れているとき → 「正直ちょっと疲れてるんだ」と本音を言葉にしてみる。

3. 家族や友人への相談

  • 保育の現場を知らなくても → 「今日は子どもたちがずっと泣いていて大変だった」と素直に話す。
  • 「ただ聞いてほしい」気持ちのとき → 「アドバイスはいらないから、聞いてくれる?」と前置きして伝える。

4. 専門家・外部機関への相談

  • 気持ちの落ち込みが続くとき → 医療職(心療内科や精神科)に早めに相談する。
  • 職場以外で安心して話したいとき → 自治体や保育士支援センターなどの相談窓口を利用する。

こうしてみると、相談には大きなステップではなく“小さな声かけ”の積み重ねが大事だと気づけます。


相談には3つの意味がある

相談することは、ただ「話す」以上の深い意味を持っています。

  1. 荷物を軽くする意味
    ひとりで抱え込むと、頭の中が重くなっていきます。誰かに話すことで、その重さが半分に減ることがあります。
  2. 客観的に整理できる意味
    言葉にしてみることで、自分の気持ちを客観的に見つめられます。
    「私は“疲れ”ではなく“不安”を感じていたんだ」と気づけることも。
  3. 安心を取り戻す意味
    「わかるよ」「大丈夫だよ」と返してもらえることで、心に余裕が戻ります。これは次の日の笑顔につながります。

そして、この3つの意味はすべて「保育を続けていく力」に直結しています。


支え合いが保育を続ける力になる

どうか覚えていてください。
人に頼ることは、弱さではなく、保育を続けるための強さです。

あなたが声を上げることで、園全体がより安心できる場に変わります。
そして、その支え合いこそが、子どもたちにとって最大の安心になるのです。

ひとりで頑張りすぎなくてもいい。
「頼る」ことは、あなたと子ども、両方を守るセルフケアなのです。

あなたに伝えたいこと

どうか忘れないでください。
人に頼ることは、弱さではなく、保育を続けるための強さです。

あなたが声を上げることで、園全体がより安心できる場に変わります。
そして、その支え合いこそが、子どもたちにとって最大の安心になるのです。

ひとりで頑張りすぎなくてもいい。
「頼る」ことは、あなたと子ども、両方を守るセルフケアなのです。


園長・主任の先生方へ

もしこの記事を園を運営する立場の先生が読んでくださっているなら、どうか園全体で「相談できる環境」をつくることも考えてみませんか?

産業保健師・公認心理師として、私は 園全体のセルフケア研修 や、
職員間のコミュニケーションを整える研修 を行っています。

「個人が頑張る」ではなく「チームで支え合う」体制があることで、先生方の安心と子どもたちの育ちをより大切にできるはずです。

👉 詳しくは、こちらの研修に関する情報をご覧ください。
https://hoiku-kenshu.jp/kensyu/


🌱 あなたが安心して働ける環境を、共につくっていけますように。

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この記事を書いた人

産業保健師・公認心理師・保育士
産業保健師として12年以上、働く人の健康支援に取り組んできました。
現在は、公認心理師・保育士資格を活かし、保育園向けの人材育成研修・保育士研修を提供しています。

園長先生や法人が抱える「離職防止」「心理的安全性の向上」「人材育成」の課題に合わせ、園内研修や外部研修を設計。
保育者が安心して働き続けられる職場づくりをサポートします。

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